身寄りなしの終活とは?やっておくと安心できること
身寄りがない。近しい親族や兄弟が居ない。このような方が終活をするために考えるとき、大変困るのが「誰に、何を、どうやって託せばいいのか」ということだと思います。
また、誰に託すのかによって発生する費用の問題も、なかなか難しい事柄。
今回は、身寄りのない人や、今現在具体的に相続する人が思いつかない人に知っておいてほしい(知っていただけると安心できる)ことをお話していきます。
目次
1: 身寄りのない方が突然亡くなると・・・
頼れる親族がいない。近所の人や友人とも疎遠になっている。このような方が増えているのが、現在の日本の実情です。
そのため、身寄りのない方が突然亡くなると、次のようなことを整理するのに、時間や労力がかかります。
- 葬儀
- 火葬
- 納骨
- 死亡届
また、
- 社会保険関係の行政手続き
- 電気、ガス、水道の停止
- 郵便やクレジットカード、銀行口座の停止や解約
そして、最近では次のようなことも増えました。
- お家からのインターネット接続手続きの解約
- 医療費の精算
- 家賃の支払いと退去手続き
さらに、インターネットを使ったサブスクリプションや各種サービスを利用されている方が増えているので、例えば
- ネット通販で購入していたサブスクリプション健康食品
- 電子雑誌や音楽
- オンラインゲーム
こうしたことの解約や停止が必要になります。
他にも、遺産があれば相続手続き、家財や遺留品の保管や処分など、細かく考えていくと悩ましいことがらがいっぱいです。
これらのことが、普段はやりとりのない(自分たちも知らない可能性もあります)遠縁の方へ突然連絡が入り、ほぼ何も知らない状態で対応を求められてしまう。こんなことが考えられます。
ご本人が望む、望まないに関係なく、生前にある程度は決めておかないと、意図せずして周りの人へ大きな負担をかけてしまうこともあります。
本当に、自分は誰にも負担や迷惑を掛けたいとは考えていなくても、複雑になってしまった現在では、こうした手続きが必要になるのです。
2: 身寄りなしの終活でやっておきたいこと
身寄りのない方が終活でやっておきたいことをお話します。
(1)困ることを整理しましょう
まず、困ることを整理しておきましょう。次の内容が、よく困ることです。
[1]突然倒れて入院や手術が必要になった
この場合で困るのは「身元保証人」になってくれる人がいないことです。
また、入院となると日用品の準備が必要になります。
友人や勤務先の人へお願いする人もいらっしゃいますが、かなり親密な関係でないと現実的には難しいと思います。
それよりも、入居や利用されている施設の方へ相談されるか、地域包括支援センターや司法書士などへ相談されるのがスムーズです。
[2]要支援や要介護で自宅住まいが難しくなった
介護サービスが受けられますので、訪問介護やデイサービスを上手に利用しましょう。基本的に要支援や要介護のときは、介護サービスへ相談されるのがおすすめです。
[3]認知症になったら・・・どうすれば
金銭の管理や、身の回りの整理が難しくなります。
そこで判断能力があるうちに、ご自身で「後見人」を定めることができます。「成年後見契約」と呼ばれる方法です。
司法書士や弁護士など法律の専門家へ相談し契約するのが一般的です。
契約するときですが、金銭管理のことや、身の回りの世話に関するサポート内容を一緒に決めておくと安心です。
(2)葬儀について考えましょう
「自分が亡くなったら、誰が葬儀や納骨をしてくれるのか」
こうした心配は、生前に葬儀会社へ相談されてはいかがでしょうか。ご自身の葬儀について、友人や知人に頼むというのも難しいですし、普段あまり付き合いのない親族へ相談するのも難しいもの。
葬儀会社なら、あなたの暮らしや理想をお聞きし、安心できる葬儀や納骨の方法を、生前の間に決めて整えることができます。
また、葬儀会社を選ぶときですが、あなたの担当が代わらないところをおすすめします。というのも、あなたが考えている(理想としている)イメージが、担当者が代わると違ってしまうことがあるからです。
(3)葬儀後のことも考えましょう
葬儀が終わると納骨や法事があります。こうした事柄も、どのように進めてほしいのか生前に決めておきましょう。
檀家さんならご住職へお伝えしておけば安心です。
3: やっぱり大事な「お金」のこと
身寄りがあってもなくても終活を考えたとき悩ましいのが「お金」に関することです。
(1)謝礼が必要なケース
入院や手術で必要になる「身元保証人」ですが、保証人になるサインをするだけではなく、見舞いへ行くことや日用品を届けるなど、細々した負担を掛けてしまいます。
そのため、病状が落ち着いてからでかまいませんので、立て替えてもらったお金を精算した後に、数万円程度の謝礼を渡すのがマナーと考えてもらって問題ありません。
(2)月額負担が必要なケース
成年後見契約をされた場合、後見がはじまってから月額費用の負担が必要になります。
弁護士や司法書士などの専門家へ依頼された場合、月額3万円~5万円程度が負担費用の相場です。
(3)生前報酬が必要なケース
「死後事務委任契約」というものがあります。死後に発生する事務手続きを行ってもらう契約です。
どの範囲までの手続きを委任するかで費用が変わります。例えば「葬儀の代行は8万円」「役所への届出は1件1万円」というように細かくわかれています。
生前に全ての報酬を支払うことは少ないですが、死後に費用が全て支払われるように工夫する必要があります。
例えば、死亡保険で精算する、遺産の中から支払うなどです。
(4)前もって把握しておきたいこと
葬儀やお墓に関する費用ってわかりにくいものです。お知り合いに聞かれたとしても、かなりの金額の幅があり、参考にならないことも多いです。
そこで、生前に葬儀会社へ相談し終活の一環として、生前に葬儀やお墓の契約をする方法があります。
この方法ですと、前もって必要な費用を把握できますので、どのように、どれくらいお金を確保すれば良いのかわかりますので、かなり安心できます。
例えば、仏心葬祭ですと葬儀からお墓のこと、その後の法事に関しても、あなたの担当が代わることなくご相談いただけます。
さらに、法律の専門家や手続きの専門家をご紹介することも可能ですので、「身近に全部を相談できる人が居ない」と不安な方も、安心してご相談いただける体制を整えております。
4: 意外に困る「趣味」のこと
趣味の品々は、思い入れがあります。そのため、死後に大事な品々が簡単に廃棄されるのは、ちょっと耐えづらいことだと思います。
そのため、趣味の品々は、あなたの意思をしっかり残し、大事に使ってくれる人へお渡しできるようにするのが理想ではないでしょうか。
そこで「生前整理」という考え方があります。
- 使わないもの
- 思い出の品
- 価値の高いもの
このように分けていきましょう。そして使わないものは生前に遺品整理業者へ処分を依頼。
残ったものは、生前に「どうしてほしいのか」を記しておくと、あなたの意思が尊重されます。
5: まとめ
身寄りなしの方が終活するとき、いろいろなことを決めないといけなくなります。
特にその中でも死後にお金が必要になる葬儀やお墓のことは、終活の中でも重要度の高いことです。
終活で悩まれたとき、医療や介護のことならまずは「地域包括支援センター」、委任や身元保証、後見契約なら「社会福祉協議会」へ相談するところからはじめましょう。葬儀やお墓に関することは「葬儀会社」へ相談してください。