葬儀をしない方は「お別れ会」をご検討ください
平成以前のお葬式というと、葬儀の形式も「ほぼ」決まっていました。しかし、近年ではお葬式の形式も多様化しています。
また、コロナ禍を経験したことでお葬式の形式に「直葬」という方法を選ぶ方も増えました。
そして、お葬式を行わないという方も少しずつではありますが増えています。
そこで今回は、お葬式をされない方へ、お別れ会という新しい形式についてお話していきます。
目次
1: 葬儀とお別れ会の違い
従来からの形式の葬儀は「一般葬」と呼ばれています。
また昨今増えている、ご家族や親族だけで行う葬儀「家族葬」という方法もあります。
そして、火葬場で直葬される形式もあります。
葬儀に関しては、人それぞれ、ご家族それぞれに考え方がありますので正解不正解というものはありません。ご遺族が後悔しない方法であれば良いと私は考えています。
しかし、ここで問題になるのが一般葬以外の方法で葬儀を行った場合。または、直葬のように形式的な葬儀を行わなかった場合。
故人の知人やご友人へ死亡の事実をお伝えするのは、家族葬や直葬が終わった後になります。
そうすると、知人やご友人の中には、ご自宅へお参りに訪れる方も出てきます。お参りに来ていただけるのは大変うれしいことですが、決まった日程でお越しになることはなく、ご自身の都合で突然来られることもあるため、ご家族には大きな精神的負担になることもあります。
そこで、一般的な葬儀とは違い、宗教的な意味合いを強くせず、社会的なつながりに意味を持たせた「お別れ会」を催すことがあります。
お別れ会を行うと、その日に知人やご友人に来て頂ければ良いため、ご家族の負担も軽減できます。
葬儀という宗教的意味合いが強く、儀礼による制約が多い「葬儀」。反対に宗教的意味合いが薄く、儀礼による制約が少ない。そして進行や演出は比較的自由にできる「お別れ会」。
この2つの違いを理解いただくことで、葬儀という形式にこだわらず、知人やご友人達との関係を進めることができます。
2: お別れ会の流れと特徴
お別れ会の流れや特徴についてお話していきます。
(1)お別れ会の流れ
先ほどもお話いたしましたが、お別れ会には決まった形式や流れというものはありません。
宗派や宗教による制約はありませんので、故人やご遺族が自由に決めて問題ありません。
しかし、何も形式がないとなると、私たち日本人はかなり困ってしまいます。そこで次のような大まかな流れが参考になります。
葬儀のようにかしこまって入場する必要はありません。開場時間になれば、自由に会場へ入っていただけるようにすることも可能です。
ご遺族の代表(葬儀であれば喪主様に相当する方)が、お別れ会へ集まってくださった方々へ感謝の気持ちと、お別れ会を催すことになった理由をお伝えください。
故人に向けて静かに黙祷の時間を持ちましょう。
略歴などの紹介を行います。知人やご友人であっても、故人の人生の中の一部分しかご存じではないはずです。
故人の意外な一面を知ってもらえる機会にもなります。
知人やご友人、遺族代表が順に短くお話していきます。
(2)お別れ会の特徴
お別れ会の特徴は、葬儀とは違い準備の時間を持てることです。葬儀ですと「明日明後日」のことばかり考えて行動する必要が出てきますが、お別れ会は落ち着いて準備ができます。
そのため故人が生前好きだった音楽や趣味のものなどを集めるということもできます。また、形式も自由なので「○○はダメ」「○○は良くない」ということもありません。
あくまでも故人を偲ぶことに重点をおくことができますので、ご遺族にとっても後悔を残すことがかなり減ります。
(3)お別れ会の形式
一般的に多い形式としては、パーティー形式のお別れ会です。
会費制にされるところもあります。
料理も立食のビュッフェ形式にすることで、柔軟に対応することができます。
続いて多い形式は、セレモニー形式です。
葬儀や告別式に近い形式で行われるため、お別れ会に馴染みのない方にも受け入れてもらいやすい形式です。
故人と知人やご友人との関係性によって、パーティー形式かセレモニー形式かを考えてください。
例えば故人が、かしこまったことが好きではなく、どちらかというと自由な人だった場合、パーティー形式でカジュアルに偲んでいただくのが良いと思います。
3: お別れ会を催すタイミング
お別れ会を催すタイミングについて見ていきます。
(1)お別れ会を催す意味
お別れ会は、故人らしいお別れを演出しやすくなります。また、家族葬や直葬に参列いただけなかった知人やご友人に、お別れいただく場所になります。
通常のお葬式とは違いますが、お別れ会を催す意味としては、葬儀や告別式と大差ありません。
(2)お別れ会を催すタイミング
お別れ会を催すタイミングですが、次のようなタイミングで行われる方が多いです。
「故人が亡くなってから2週間~1ヶ月程度経過してから」
具体的には、
- 四十九日の法要
- 一周忌
この2つのどちらかに合わせて「お別れ会」をされるのが、知人やご友人にもわかりやすく集まっていただきやすいです。
他には、何か強い思い入れのある日です。
- 故人が会社を創業されたのなら、創業日に合わせる
- 故人の誕生日に合わせる
(3)お別れ会を催す会場の選び方
交通の便が良いところがおすすめです。
電車やバスでは会場へ向かうのが難しい地域の場合ですと、駐車場の広いところがおすすめです。
葬儀をされているセレモニーホールを借りることもできますし、形式にこだわらないのならホテルや貸会議室を選ぶこともできます。
お別れ会は葬儀とは違い、当日に故人のご遺体はありませんので、会場は自由に選ぶことができます。
故人の思い出深いレストランがあるなら、そういった場所を貸し切りにしても問題ありません。
4: お別れ会がおすすめのケース
小さなお葬式として選ばれることが増えた「家族葬」。またはお通夜や告別式を行わない「直葬」。
故人に知人やご友人は多かったけれど、静かにゆっくりと家族だけで見送りたかったのでどちらかを選ばれた方に、お別れ会はおすすめです。
または、故人が火葬のみ(直葬)を希望していた。宗教的な儀式にこだわりがなく自由な雰囲気が好きだった。こういう方だった場合にも、お別れ会がおすすめです。
5: まとめ
お葬式の形式も変化しています。
どの方法が良い、どの方法が良くないとは言えません。
しかし、どの方法であっても大切なのは、故人らしいお別れができること。そしてご遺族が後悔されないこと。
葬儀の形式にこだわる必要はありません。お別れ会という方法をご検討ください。