家族葬でトラブルを防ぐ!気持ちよくお別れするポイント
家族葬を検討している。家族葬を検討したい。このような方が増えています。
そのため大手葬儀会社にも「家族葬プラン」が用意されていたり、大手葬儀社が「家族葬専門」のサービスを立ち上げたりしています。
家族葬という新しい形が広まりつつありますが、まだまだトラブルが発生する原因になってしまうこともゼロではありません。
今回は、家族葬で起こりやすいトラブルをお話することで、未然に防ぐヒントを得て頂きたいと思います。
目次
1: 家族葬とは?人によって考えがまちまち
はじめに「家族葬」という新しい形について見ていきます。
(1)家族葬という言葉からうける印象
「家族葬」という言葉ですが、あなたはどのような印象をお持ちでしょうか?
- 家族だけのお葬式
- 親族だけのお葬式
- 小規模な葬儀
実のところ、大手葬儀会社であっても、小さな葬儀社であっても「○○が家族葬です」と言い切っているところはありません。
また、お住まいの地域の習慣によっては、
- 家族
- 親族
- 小規模
これらの範囲が違っていますので、なかなか「○○が家族葬です」と言い切りにくいのが現実です。
このような状況ですから、あなたにご理解いただきたいのは「家族葬」という言葉から受ける印象は「人によってまちまち」であるということです。
ここを忘れてしまうと、相手の方と話がかみ合いませんし、お互いがお互いの勝手なイメージで話をしていますから、話も平行線をたどってしまいイライラしてしまうだけになります。
(2)家族葬の定義
このように家族葬という形式には、今のところ「○○です」と言い切れるだけの定義がありません。
そのため家族葬を検討されるときには、
- 地域の習慣を元にして「家族葬」と呼ぶには、どれくらいの規模の葬儀なのかを理解する
- 複数の葬儀社に相談し、自分たちが考えている(自分たちが定義している)家族葬に近いところを見つける
- 出来るだけお住まいの地域にある葬儀社を選ぶ
この3つを順番に進めてもらうことで、お住まいの地域に根付いた(納得してもらいやすい)家族葬ができるようになります。
「定義されていないこと=自由」という捉え方もありますが、昔から続いている「葬儀」という儀式に関しては「自由すぎる」と受け入れられない人も出てきます。そうするとトラブルのタネになってしまうことも十分に考えられます。
葬儀に関しては「定義されていない=地域の習慣を取り入れる」という考えを元にしてもらうのが良いと思います。
(3)家族葬と一般葬の流れ
家族葬を検討されている方の中には、家族葬と一般葬の流れに大きな違いがあるように感じておられる方がいらっしゃいます。
これは「家族葬」という言葉の印象から、一般葬よりも簡素な流れになることをイメージされているからでしょう。
しかし、家族葬の流れを葬儀社へご確認いただくとわかりますが、家族葬の流れは一般葬の流れと大きく違いません。
どちらかというと、参列者が少ないのが家族葬、会社関係まで参列いただくのが一般葬。このような捉え方の方がわかりやすいと思います。
葬儀社によっては「家族葬」だからこそ、一般葬ではできない「お別れの準備」をしてくれるところもあります。こういう違いは、葬儀社の担当スタッフの経験や知識、心配りによります。
そのため葬儀社を選ぶときには、最初に相談したスタッフが葬儀終了まで変わらないところが安心です。
2: 家族葬のメリットとデメリット
家族葬のメリットとデメリットをお話していきます。
(1)家族葬のメリット
まずメリットから見ていきます。
参列者が少ないこと。多くても親族を中心とした参列者になること。
このような葬儀なので、「全く知らない人」がやってくることがありません。また、身内以外の人が参列される場合でも、故人の知人や親友で生前からお付き合いのあった方ですから、お相手するのに気遣いも少なくてすみます。
葬儀でも「接待」というのは、考えているよりもストレスになります。また、体力的にも疲れますので、家族葬なら負担が少なくてすみます。
気遣いが減りますから、静かに落ち着いてお別れすることができます。
緊張してばかりの葬儀ですと、「いつの間にか終わってしまった」ということになり、ゆっくりとお別れ出来なかったと後悔される方もいらっしゃいます。
故人や遺族の意向を取り入れやすいのも家族葬のメリットです。
祭壇の飾りやお供え物も、故人様らしいもので葬儀を進めることができます。
お葬式の規模が小さいと基本的には費用を抑えやすくなります。ただし、一般葬の1/10になるかというと、なかなか難しいところです。
「家族葬=格安で出来るお葬式」
ではありませんのでご注意ください。
(2)家族葬のデメリット
家族葬にはデメリットもあります。
家族葬というのは、まだまだ新しいお葬式の形です。そのため理解いただけないこともあります。
特に遠縁の方、故人の友人や知人などから、家族葬だったため
- 葬儀にいけなかった
- 最後に顔を見たかった
- 呼ばれなかった
このような不満を持たれることや、家族にぶつけてくることがあります。
最初にお話しましたように家族葬には定義がありません。そのため、このようなデメリットが生まれているのだと思います。
もっと家族葬という形が浸透し、誰もが納得できるようになるには時間がかかるとは思いますが、コロナ禍でのお葬式の形によって、今後は少しずつ納得いただける方が増えていくと考えています。
家族葬は一般葬よりも費用負担を抑えやすいのですが、葬儀の内容や設備が一般葬と変わらない場合、見積もりをよく見ておかないと、追加費用がかさんでしまい費用負担が増えてしまうこともあります。
家族葬の場合、参列や弔問をお願いするための連絡は少なくてすみます。
いっぽう、参列や弔問を「お断りする」連絡をしなければいけない場合、手間がかかる可能性が高くなります。
- 家族葬をすること
- 家族葬なので参列や弔問をお断りすること
- 葬儀の内容
ひとつひとつ説明しないといけません。
「お断りする」人が少ない場合、または、いらっしゃらない場合は問題になりませんが、そこそこ多い(15名以上)とデメリットになります。
3: 家族葬で理解頂けないため発生するトラブル
家族葬で発生しやすいトラブルを見ていきます。
知っておくと対処できますので、覚えておいてください。
(1)家族葬に呼ぶ範囲
家族や親族、故人の友人や知人を含め、どの範囲までを呼ぶのか。
難しい問題です。
可能なら、故人との関わりが深かった人を把握しておきたいところです。
(2)葬儀の形式
それぞれ価値観や考え方が違いますので意見がわかれます。
意見の違いによって発生するのが、葬儀の形式に納得がいかない方からのトラブルです。
そこで、一般的は「葬儀の決定に影響する」順番を知っておいていください。
1番:喪主
2番:喪主の配偶者
3番:長男
大抵の場合は喪主に従うことになります。
(3)金銭問題
葬儀全体の費用の問題があります。これは葬儀の見積もりと契約書をきちんと見て頂くことで回避できます。
ポイントは「追加費用が必要になるのは、どの部分か」です。予め追加費用が必要になる部分を押さえておきましょう。
つづいて、もう一つの金銭問題が、家族内での葬儀費用の負担額です。「誰がいくら負担するのか」。
お葬式の費用支払いに関してですが、事前に決めておられるとトラブルになりにくいです。しかし、決めていない場合は、葬儀が決まってから「ほとんど1日~2日」程度で負担額を判断しなくてはいけないので、なかなか決断できないことが多いです。
(4)ご近所付き合い
「葬儀に参列できなかった」問題です。
このトラブルで気をつけたいのは、「○○さんは参列したのに、私は参列できなかった」という状況を作らないことです。
正直なところ、参列したいという人にお断りを伝えるだけでも、よく思われないものです。だからといって、「○○さんだけ参列」というのは、より問題を大きく複雑にします。
どちらにしても、誰かには良く思われないのですから、「家族だけで」と伝えてしまうのが良いと思います。
(5)予定外のコトが発生
- 参列をお断りしたのに、葬儀場を探して来てしまった
- 自宅に香典や供物が届いた
- 葬儀後に弔問客が自宅にやってきた
ここでも「○○さんだけOK」という状況を作ると、トラブルになりますし、ややこしくなります。事前に家族の中で扱い方を決めておきましょう。
(6)菩提寺との問題
菩提寺によっては家族葬を認められないところがあります。ですから、事前に菩提寺に「家族葬にしようと思っています」と相談しておいてください。
これ、意外に大事なポイントです。
4: トラブルを未然に防いで気持ちよくお別れ
お葬式というのは、人によって考え方や捉え方が違います。そのため、トラブルや不満をゼロにすることはできません。
ですから、ここで考えて頂きたいのは、まわりに振り回されるのではなく、遺族が安心して気持ちよく故人とお別れできることを優先してもらいたいのです。
可能なら、生前に家族や親族が同席し、お葬式について決めておくのが理想です。
5: まとめ
家族葬は静かにゆっくりとお別れできる形です。
しかし、まだまだ浸透していないためトラブルになることもあります。特に地域によっては「お葬式は盛大であるべき」という風潮もあります。
家族葬を検討されている場合は、今回お話しましたトラブルを知って頂いた上で、自分たち家族はどのように対処するのか決めておいてください。
そして、できるだけ波風が立たない、地域の習慣などを考慮した「家族葬」を行って頂き、残されたご家族がゆっくりとお別れできるのが理想ではないかと考えています。