お葬式をしない理由と知っておいてほしいこと
お葬式の形が変化しています。従来のお葬式ですと、家族や親族のほかに、ご近所の方や親しいご友人、会社関係の方々を招いて行われていました。
しかし、最近では「お葬式をしない」という方も増えてきていますし、簡素な形を選ばれる方も増えてきています。
お葬式の形は人それぞれで良いと思います。ただ、お葬式をしないことによって、後悔されるようなことになってほしくないと私は思っています。
目次
1: お葬式をしない理由に多いこと
お葬式をしないのには理由があるはずです。
一般的に私のまわりでも耳にする「お葬式をしない理由」について見てみましょう。
(1)費用の負担
「お葬式には莫大な費用がかかる」
確かに昔のお葬式のようにすると、なかなか簡単に「お葬式をやりましょう」とは言いづらいことも理解できます。
また、ご遺族や、残された方々の考え方によっては、「お葬式」というものにお金を使うことが納得できないと考えておられる方々もいらっしゃるはずです。
「お葬式にお金を使うのは無駄に感じる」
このご意見も耳にすることがあります。
日本において、お葬式は必ずやらないといけない決まりはありません。そのため「無駄」と感じられる方は、お葬式をしないのが良い選択なのだと思います。
どちらにしても、お葬式には「お金」の問題が関わってくることは避けられません。
(2)故人の意向
故人の遺言に「葬式は行わない」と残されていた場合、遺言のとおりにお葬式をしないのが良いですね。
この場合、「お葬式を行わないことが問題にならないの?」と心配される方がいらっしゃいますが、日本ではお葬式を行わなくても罪にはなりません。ご遺体を直接火葬場へお送りする「直葬」を行えば問題ありません。
(3)無宗教
お葬式は否応なく「宗教色が強くなる儀式」です。
そのため無宗教の方々にとっては、戸惑う原因になっていることがあります。
「宗教色が強いので、無宗教の自分としては何となく居心地が良くない」
このような理由でお葬式をしない方もいらっしゃいます。
大きく見ると、お葬式をしない理由は、
- 費用の問題
- 故人の考え
- 宗教の捉え方
このようになると思います。どれも間違いではありませんし、他者があれこれ言うべきことでもありません。
ただ、私のこれまでの経験から申し上げますと、お葬式をしないと影響することがあります。
2: お葬式をしないと影響すること
お葬式をしないと影響することをお話していきます。
(1)法的手続き
お葬式は行わなくても法的に問題は発生しません。先ほどもお話しましたが、ご遺体を「直葬」すれば何も問題は発生しません。
ここでお葬式をしないことで影響する法的手続きは、死亡の事実を知った日から7日以内に、市区町村の役所へ「死亡届」を提出しなければいけないことです。
というのも、お葬式という儀式をしないことで
- 誰が
- いつ
- 提出する
とても単純なことなのですが、「誰かがやるだろう」になってしまう危険性が出て来ます。また、医師から死亡診断書を受け取ったのが「誰なのか」わからなくなるケースもあります。
「直葬」を選ばれる場合でも、葬儀社の担当が伺っていますので、法的手続きについて「どうすればいいですか?」と尋ねてください。
また、死亡届以外にも、
- 健康保険
- 介護保険
- 国民年金
- 介護サービスなど
こうしたことの手続きも進めないといけません。こちらもお葬式をしないことで
- うっかり
- 誰かがやるだろう
とならないようにしてください。
(2)周囲への影響
お葬式をしないことで影響が出ることのトップは「周囲の方との関係性」です。
法的な部分は問題なく手続きを進めたとしても、残された方と周囲の人たちとの間に
- 葬儀をしなかった
- 葬儀に呼んでもらえなかった
- 非常識だ
- 後日、バラバラと弔問がある
このようなことが起こる可能性もあります。
ご遺族にとっては、精神的な負担が増えてしまいますね。
お葬式は「絶対にしないとダメ」という決まりはありませんし、価値観の多様化で「お葬式をしない」という選択肢は認められるべきことです。
しかし、こういう考え方は日本の風習として見ると、ごく最近のこと。そのため、まだまだ受け入れられない地域や人間関係が存在するのも事実です。
故人の遺言であったとしても、ご遺族にとっては後々負担になることが見えているなら、「お葬式」という儀式は故人の遺言のとおり行わず、葬儀とは別に「お別れ会」を催されるのも良い方法だと思います。
3: お葬式をしないメリットとデメリット
(1)お葬式をしないメリット
一番は「お金」でしょう。葬儀社へ支払う「お金」。宗教者へのお布施。
二番目は「メンタル面」の負担が減ることです。慣れない挨拶。決まりごとの多い手順。葬儀社との打ち合わせや手続き。
あまりよく知らない故人の友人や知人の相手をするのは、遺族としてはうれしい反面、メンタル面でかなり疲れてしまうこともあります。
(2)お葬式をしないデメリット
地域の風習や習慣によって違いはありますが、遺族がご近所の方と付き合いにくくなることです。
お葬式という儀式をとおして、ご近所との関係が上手くいかなくなると、修復するのにかなりの時間を必要とします。
今後はご近所との関係、親族との関係を気にせず暮らしていく!という方ならデメリットにはなりませんが、同じ地域で暮らされる場合は、ゴミ出しや地域活動などに絡めて嫌がらせしてくる人もいますので、デメリットとして考えて良いのではないでしょうか。
4: お葬式をしないなら必ずやっておきたいこと
お葬式をしない場合ですが、必ずやっておきたいことがあります。この部分が出来ていると、大きな問題を引き起こしにくくなります。
(1)事前に意思を明確に
故人の生前に、
- 家族
- 親族
- ご近所の方々
- 友人や知人
など、影響を与えそうな人たちに、意思を明確に伝えておいてもらいましょう。
遺族が「お葬式をしない」と決めたのではなく、故人が自分の意思で決めていることを知ってもらうことが重要です。
(2)具体的な手配
お葬式をしない場合でも、葬儀社を利用して「直葬」するのが一般的です。そのため、生前に葬儀社と相談し「直葬でいい」という意思を明確にした上で契約しておきましょう。
(3)財産の処分
法定相続人以外の第三者へ何かを残したい(託したい)場合、財産処分について遺言書など、法的な効力を持ったものに記しておきましょう。
(4)相続
法定相続人に関しても、後々トラブルにならないよう、遺言書など法的効力のあるものに記しておくことが大切です。
遺産相続のトラブルは、家族や親族の関係を壊してしまうきっかけになり得ます。
(5)お寺さん
お葬式をしない場合、事前にお寺さんへお話しておいてください。
お寺さんによっては「お葬式をしないなんて受け入れられない」というところもあります。
- 地域
- 宗派
これら2つの習慣を理解した上で、お葬式をしない場合は、事前の相談が重要になってきます。
5: 簡素でも良いのでお別れする場を設けてください
もし、「お葬式をしない」で「直葬」だけで終わろう、もしくは既に終わっている場合ですが、気持ちの整理をされる時間を設けるためにも、次の2つのどちらかを行って頂きたいと思います。
(1)少ない参列者でのお葬式
家族5名くらいで結構です。小さな「家族葬」を行うことで、静かにゆっくりと気持ちの整理ができます(直送された後でも、家族葬は気持ちを切り替えてくれます)。
家族だけで行いますので、かしこまった挨拶も必要ありません。家族が許すなら、服装もかしこまった服装でなく、地味な普段着で良いと思います。
家族葬で、誰かが何かを話すわけでもないでしょう。しかし、故人との思い出を振り返り、亡くなられた事実を受け入れる時間と空間を持っていただくことで、遺族も気持ちの整理をし、明日から元気に暮らしていくことができます。
(2)お葬式以外の方法
お葬式という儀式は苦手な場合。「お別れの会」という形でかまいません。集まって故人を思い返す場を作ってください。
故人をしのぶ時間を持つことが必要です。
6: まとめ
「お葬式をしない」というのは、良くないことではありません。
しかし、お葬式をしなかったことで、遺族に後悔はしてほしくありません。心残りなくお別れしてもらいたいと思っています。
そのためには、従来のお葬式という形にとらわれるのではなく
- 小さな家族葬
- お別れの会
こういう形で、ゆっくりとお別れしてもらいたいのです。
「お葬式、どうしよう?」とお悩みなら、仏心葬祭までご相談ください。担当「小川」が誠心誠意サポートさせていただきます。