葬式をしない「直葬」を選ぶときのポイントを解説します
最近、お葬式をしない「直葬」という方法を検討する人が増えています。
おそらくあなたも「葬式はいらないかな」と感じておられるため、いろいろとネットで検索し、このページへたどり着かれたのだと思います。
今回は、時代のニーズによって登場した、お葬式をしない「直葬」について解説していきます。
1: 葬式をしないと法的に問題はあるの?
従来の考え方としては、人が亡くなった場合には、残された人たちでお葬式をし、お別れする機会を持つことが一般的です。
しかし、最近はお葬式をしない「直葬」を検討され、選ばれる方も増えています。
そして、ここで気になるのがお葬式をしなくても法律的に問題はないのかという疑問です。
これは、従来の習慣による疑問です。お葬式とは法律で「やってくださいね」と義務化されているものではありません。
単にこれまでの風習によって「お葬式はやるべき」と思い込んでいるだけであり実際のところ、お葬式を「する/しない」は残された人たちの自由なのです。
人が亡くなったとき、法律的に決められていることは
- 死後24時間以内は火葬ができない
- 死亡届を役所へ出す
- 土葬または火葬の手続きをする
これだけです。
ですから、お葬式をしない「直葬」は、法的に違反していることもありませんので故人の遺志や、残された方の気持ちしだいで選ぶことができます。
2: 葬式をしない「直葬」を選ぶ理由
お葬式をしない「直葬」を選ばれるには、それなりに理由があります。
(1)直葬を選ぶ理由
なんといっても「簡易」に済ませられることでしょう。
お通夜や葬儀、告別式、出棺などを省くことでシンプルに済ませることができるため、生き方も含めて「シンプル」な価値観をお持ちの方は選びたくなるのだと思います。
(2)直葬のメリット
直葬はシンプルですから、次のようなメリットが出てきます。
- 参列者への案内などが不要
- 返礼品の準備やお届けも不要
- お料理なども不要
当然ですが、
- 祭壇は不要
- 式場も不要
- かたぐるしい挨拶もなし
- 近親者だけなので気遣いしなくていい
- リラックスしてお別れできる
- 知らない人と話すストレスがない
そして、葬儀に必要な費用が大幅に抑えられるというのもメリットです。
(3)直葬のデメリット
メリットがあれば、必ずデメリットもあります。
- 直葬に呼ばれなかった親戚やご近所からの苦情
- 故人が生前にお付き合いのあった方からの苦情
- お葬式をしないので「けしからん!」という苦情
- 簡易に済ませることへの嫌悪感
直葬は家族葬よりも新しい形ですから、万人に理解していただくことは難しいです。
特に、地方によっては地域の結びつきが強いところでは、直葬はまだまだ受け入れられない方法だと感じています。
3: 葬式をしない「直葬」を選ぶときのポイント
どうしても直葬を選びたい場合には、次のようなポイントに注意しておきましょう。
(1)生前から伝えておく
日本でのお葬式の形は、故人の遺志が尊重されやすいところがあります。そのため、あなたが「直葬」を希望されているのなら、生前からお友達や知り合いには「直葬にしようと考えている」と伝えておくことも大切です。
「あ~、あいつらしいな」「あの人らしいね」
と思ってもらえるのがベストです。
(2)親戚や親族への対応
親戚や親族へも、常々生前から「直葬」を伝えておくことが大切ですが、それだけでは実際に亡くなったときトラブルになる可能性があります。
どうしても親族や親戚は、近い存在なので自分たちの価値観や考えを取り入れてもらおうとします。そのため故人が口頭で「直葬してほしい」と伝えていても、いざとなると親族や親戚は従来と同じ「大きなお葬式」を選びたくなるのです。
こんなことになるのがイヤだなと思う方は、生前に遺言書へしっかりと意思表示しておくことが大切です。
文書として残すことで「そんなつもりで言ってなかった」とか「そうは言っていたけど本当は葬儀をしてほしかったはずだ」というような、憶測から起こるややこしい話がしにくくなります。
(3)生前に手配しておく
直葬を希望されている場合、生前に葬儀社と相談し「直葬」を依頼しておくのが良いでしょう。
これなら、誰もあなたの遺志を途中で変えることはできません。
(4)残された方のことも考えてみる
直葬という形を選ぶことはあなたの自由です。
しかし、ここで考えていただきたいことがあります。
それは、あなたが亡くなった後、残された方が直葬することで、不安や悲しみを持った心を整理する時間を持つことができるのかということです。
お葬式は形式が大切なのではなく、葬儀という故人との最後の時間をどう過ごすかによって、心の整理を行うことも大切な役割です。
この大切な時間を、直葬によって過ごせるのなら何も問題はありません。しかし、残された方が後になって
「あのとき、もう少しゆっくりとお別れができれば良かった」
「もう少し丁寧に見送ってもよかったのではないか」
「言葉にはできないけれど後悔がある」
と、心を整理できていないまま暮らすことになれば、それは先立つあなたのお気持ちとは一致しないはずです。
なにも「直葬」が丁寧ではないとか、お別れできないとか、そういうことを言っているのではありません。私のこれまでの経験から申し上げますと、人は少し落ち着いてから「あれこれ」考え出す生きものです。
そのときに後悔が生まれないようにしておくことも大切です。
直葬を検討されるときのポイントとして、
「自分は良いけれど、残された人にとっても本当に良いのか」
これも考えていただきたいと思います。
4: 葬式をしない場合でも葬儀社選びは必要
直葬は、まだまだ新しい形ですので、葬儀社によっては対応できないこともあります。
そのため、直葬をご遺族に任せるのではなく、あなたが生前に探しておくこと(できれば依頼しておくこと)が大切です。
地域や風習、ご遺族にとって「直葬」が適さないこともあるでしょう。そういった場合には、大きなお葬式ではなく「家族葬」を選ばれるのも良い選択かと思います。
家族葬なら、お葬式を行いますので「特別」な感じもやわらぎます。
5: まとめ
葬式をしない「直葬」を選ぶときのポイントを解説しました。
おそらく今後は直葬も増えていくことだと思います。ただ、従来のお葬式がなくなることはありませんし、直葬が一般化するまでには、かなりの時間が必要になると思います。
もしあなたが「直葬」を検討されているのなら、今回の内容を参考にして「本当に直葬でいいのか」と問い直してみてください。
その結果「やっぱり自分には直葬がいい」と感じられたのなら、生前に直葬を受けてくれる葬儀社へ依頼されておくことをおすすめします。