葬儀で着るのは礼服?喪服?マナー違反にならない選び方
冠婚葬祭の中でも、前もって準備できないのが葬儀やお通夜。そのため、いざ葬儀やお通夜へ出席することになると、ほとんどの人は慌てます。
「黒の服ならどんなものでもいいか」と考えてしまう瞬間もあると思います。
しかし、葬儀やお通夜ではマナーがありますので、出席するご家族や親族様によっては「なんて失礼な人」と思われてしまうことも。
本当は葬儀やお通夜への出席は、故人を偲ぶことが目的ですから服装に大きな意味合いはなくても良いと私は思います。しかし、世間の目というものはなくなりませんので、必要ではない波風を立てないためにも、失礼にならない葬儀やお通夜での服装選びのポイントを知っておいてください。
目次
1: 間違えやすい礼服と喪服
葬儀やお通夜で着る服ですが、「礼服」という人もいれば「喪服」という人もいます。
どちらも間違いではありませんが、それぞれ次のような意味合いがあります。
(1)礼服とは
礼服というのは一般的なフォーマルウェアを指しています。そのため葬儀やお通夜だけではなく「冠婚葬祭」全般で着用できる服装です。
例えば、結婚式や披露宴、企業の式典などでも着用できるのが礼服です。
(2)喪服とは
礼服に似ているのが「喪服」です。喪服は
- 葬儀
- 告別式
- 法事
このような場面でだけ着用できる服装です。同じような「黒の服」だからといって、結婚式や披露宴、式典などで着用してはいけません。
礼服と喪服ですが、並べてみると同じ黒でも光沢の違いがあるのがわかります。喪服は光沢がありませんので、黒の中の黒という雰囲気です。対して礼服は光沢があります。
パーティーなどのドレスコードで「ブラックフォーマル」とある場合ですが、こちらは礼服の黒を指しているということです。間違っても「喪服」ではありません。
2: 葬儀で着るのはどれ?
葬儀で着用するのは喪服です。そして喪服には格式の高い順に「正礼装」「準礼装」「略式礼装」と呼ばれるものがあります。
(1)正礼装
喪服の中で、もっとも格式の高い礼装です。
葬儀では喪主のみが着用する礼装と覚えておきましょう。喪主ではない親族や参列する人が選んではいけません。
(2)準礼装
葬儀でもっとも多く着用機会があるブラックの礼装です。一般的に「喪服」と呼ばれるものですので光沢がありません。
ここで間違えて光沢のあるブラックスーツを着用しないようにしましょう。
(3)略式礼装
男性ならスーツ。女性ならワンピースやアンサンブルですね。色は黒や紺やグレーなど。
女性の方の場合は黒が無難だと思います。
3: 男性の服の選び方
(1)お通夜
意外に知られていないのと、最近では一般化しているので疑問を持たない人が多いのと両方あるのですが、本来はお通夜への出席は「平服」がマナーです。
仕事帰りならスーツ。自宅からだと平服。
最近ではお通夜に喪服を着て出席される方が多いように思いますが、これは「不幸を予想していた」ということで本当なら失礼に当たると考えられます。
お通夜は「とりあえず駆けつける」という部分があります。そのため「平服」を意識しておきましょう。
ただし、亡くなられてから数日経過して「お通夜」を行われるような場合では、急な話ではなくなっていますので喪服で出席しても問題ありません。
(2)葬儀や告別式
喪主様以外は、先ほどお話ししました「準礼装」を意識してください。
ジャケットのボタンはダブルでもシングルでも構いません。
一点注意しておきたいのが「ツーピース」か「スリーピース」かという部分です。スーツでは「スリーピース」の方が「ツーピース」よりも格上の服装になります。
そのため、あなたが親族ではなく参列者である場合は「ツーピース」をおすすめします。もしあなたが「スリーピース」を着用していき、ご遺族が「ツーピース」だった場合、大変失礼なことになります。
(3)アクセサリー
最近では男性も日常的にアクセサリーを付けておられる方が増えています。普段なら問題ありませんが、葬儀ではアクセサリーは付けないのがマナーです。許されるのは結婚指輪だけです。
腕時計は派手なものでなければ問題ありません。シンプルなデザインで文字盤は白か黒。要するに「目立たない」時計がベストです。
また、アクセサリーと呼びにくいのですが「メガネ」も気をつけたいアイテムです。
- 色つきレンズ
- 派手な色のフレーム
- 奇抜な形のフレーム
こういうのは避けましょう。いくら自分のイメージがあるからといっても、ご遺族は良い気分にはなりません。
4: 女性の服の選び方
女性の方の礼装ですが、男性と同じです。
喪主様以外は準礼装を意識しましょう。
- ワンピース
- アンサンブル
- スーツ
このようなシルエットの「黒」を選んでおけば安心です。
女性の方で気をつけておきたいのが小物です。
靴は黒で合成皮革や布製がおすすめです。光沢が少ない黒いシンプルな布製のパンプスがベストだと思います。
個性を出すところではありませんので、装飾が強い靴、ピンヒール、カジュアルな雰囲気のものは避けましょう。
つづいてバッグですが、こちらも光沢やツヤを抑えた、布製の黒いハンドバッグがおすすめです。金具部分が目立たない方が使いやすいです。
靴とバッグですが、布製がおすすめな理由は「革は殺生を連想させる」と考えられるためです。
アクセサリーに関してですが結婚指輪以外はNGだと考えておいてください。ただし、女性が洋装される場合に限って、パールのネックレスはマナー違反になりません。
小ぶりのホワイトパールやブラックパールを選んでください。
ネックレスを身につけられるときですが、イヤリングもセットで身につけてください。そしてネックレスは一連のものを選んでください。二連や三連は不幸が重なるということで避けるのが一般的です。
最後にネックレスの長さですが40cm程度までに。美麗に見せるシーンではありません。
5: 子どもの服の選び方
お子さんの服装ですが、制服があるのなら制服で。
お通夜や葬儀など関係なく着用できます。
制服はそれだけで正式な礼装とされていますから、どんな柄やカラーであっても問題ありません。
靴に関しても白や黒ならスニーカーでも大丈夫です。普段からローファーを好んでおられるならローファーもマナー違反になりません。
制服がない場合ですが、基本的にはモノトーンでまとめましょう。小学生や中学生なら「制服風」のモノトーンが選びやすいです。
- キャラクターがデザインされた服
- カジュアル過ぎる服
- キラキラ系の服
こういうのは、小学生未満であれば良いですが、小学生以上の場合はマナー違反になることが多いのでご注意ください。
6: 購入するときのポイント
大人が礼装を購入するとき、気をつけたいのは「黒」の濃さです。
パッと見た感じ「黒」に見えても、よく見るとグレーがかっている生地もあります。
しっかりと染められているものを選びましょう。
そして、礼装ですが頻繁に買い替えるものではありません。そのため値段で選ぶのではなく「黒」がキレイかどうかで選んでいただきたいと思います。
私のように、お葬式を仕事にしている者でなければ、10年は着ることを考えて購入されるのが良いです。デザインも大きな流行の変化はありませんので、男性も女性もオーソドックスなシルエットのものを選んでください。
7: まとめ
お通夜や葬儀に参列する機会が減ったため、見て覚えることが難しくなっている礼装。
悩まれる方も多いのは理解できます。今回お話しましたように、男性も女性も「準礼装」を意識してご用意いただくと10年は着用できます。
参列する機会がほとんどないという方は、購入ではなくレンタルという方法もあります。