終活はいつから始めるのが正解?年齢別の「やるコト」を説明します
10年ひと昔。こんな風に昔は言われていました。今では5年ひと昔。お若い方なら3年ひと昔。こんな感覚ではないかと思います。
時の流れの速度は人によって(年齢によっても)違いがあります。しかし、残念ながら誰もがいつかは亡くなります。
そのとき、あなたのまわりにいる大切な人へは、できるだけスムーズにコトが運ぶよう準備しておきたくないでしょうか。
今回は、最近では30代、40代から始められる方も増えている「終活」を始めるタイミングや、年齢別にやっておきたい事柄をご説明していきます。
目次
1: 終活を始めるタイミングに間違いはありません
(1)終活とは前向きなコト
終活というと、「自分の死後の準備」。このような印象が強くあります。しかし、終活とは「自分の人生を一旦整理し、これからよりよい人生を送るため」の行動なのだと私は考えています。
人生の整理=断捨離という考え方もありますが、別にモノを捨てることは、身の回りのモノをどんどんと捨てていくだけが整理ではないと思います。
どちらかというと、人生の整理とは、
- どんなことをやってきたのか
- これからの自分に必要なものはどれか
- 何を頼りにして暮らしていくのが理想なのか
こういうことを振り返りながら、思い出はそのまま大事に持った上で、本当に必要なことだけを身の回りに記していくことだと思います。
(2)いつから始めるのが正解?
従来の終活のイメージですと「65歳」くらいから始めるのが良いタイミングと言われていました。
しかし、最近では年齢にとらわれることなく、いつから始めても良いという流れになってきています。
どちらかというと年齢よりも、人生の中で起こった大きなイベントをきっかけに終活をはじめられるのがおすすめです。
例えば、
- お子さんが生まれた
- お孫さんが生まれた
- 親族が大きな病気をした
- 親しい友人が大きな病気をした
- 身近な人が亡くなられた
こういうタイミングでも構いませんし、
- 震災などが発生した
- 還暦を迎えた
- 定年退職した
- 年金受給するようになった
将来を考えるきっかけに合わせて始めるのも良い方法だと思います。
(3)早いことで困ることはありません
終活を早く始めると困ること。実はありません。
終活は早く始めても何もデメリットがないのです。備えがあれば、万が一のときも安心です。例えば、入院が必要になるような病気をした場合でも、入院中に慌ててあれこれやらなくても済みます。
特に最近では年齢を問わずスマートフォンが普及しているため、月々の継続料金が発生する「サブスク」と呼ばれるサービスを契約されている方が増えています。
こういうケースがあっても、入院したとき終活ノートなどにサブスクの利用や解約に必要な情報がまとまっていると、あなたに変わって親族が一時サービス利用の停止や、サービスの解約をスムーズに進めることができます。
このように考えていただくと、終活は65歳以上の方に必要なことではなく、30代や40代の働き盛りの方にも必要なことがわかります。
2: 終活を始める目的とは
終活を始める目的がわからない。そんな方は参考にしてみてください。
(1)人生の棚卸し
終活の内容として最初に思い浮かぶのは次のようなことだと思います。
- 入院時の対応や連絡先
- 介護の内容
- 葬儀に関するお願い
- お墓に関するお願い
- 遺言
そして、先ほども触れましたが、最近では「サブスク」の契約内容。
さらに、こんなことも終活に含める必要があります。
- ネットで定期購入しているところのIDとパスワード
- SNSのアカウントとパスワード
- スマートフォンのロック解除方法
いかがでしょうか。こうやって見ると「死後」のことではなく、これまでの人生の棚卸しをすることに思えないでしょうか。
特にスマートフォンの中身に関する整理を終活に含めると、これまでの人生のアルバムがスマートフォンに集約されている現在、単に死後や病気のときだけではなく、人生そのものを棚卸しする意味が強くなっていると感じます。
(2)高齢の方は体力的な問題を早期解決
高齢の方の終活では、健康状態や筋力の低下によって体力的にいろいろと整理することが難しくなると思います。
また、記憶力はどうしても若い頃よりは劣ってきますので、元気なうちに記憶の整理をしておくことで安心できます。
終活の目的は、あなたが健康で元気なときに、自分の好みに合わせて整理するチャンスと言えます。また、あなたの体力が低下したり記憶力が低下したりしたとき、親族がストレスなくスムーズに状況を把握し対応できる準備を整えておく意味もあります。
(3)終活でやるべきこと
次のようなことは年齢を問わずにやっておくと良いですね。
- 保険の見直し
- 保険の内容を記録(保険会社の連絡先や保険証書の在処など)
- 財産の記録と整理(株式、土地、ネット銀行口座や証券口座、NISA、iDeCoなど)
- サブスクの内容を記録(健康食品などの定期購入も忘れずに)
- 私物の整理(捨てて欲しいもの、知人へ譲りたいものなど)
本当に「人生の棚卸し」です。こうやって棚卸しすると、実は使っていなかったサブスクが発見されることもあります。忘れていた銀行口座が発見されることもあります。
今の自分には必要の無いもの(捨てて欲しいもの)がわかれば気持ちよく断捨離できます。
これからの時代、「終活=死後の準備」だけではありません。
3: 年齢別「やるコト」ポイント
年齢別に見ていきます。
(1)20代
- デジタルデータの整理と管理
- 保険や資産運用(投資など)について計画
- 万が一のときに伝えてほしい友人リスト
(2)30代
- ライフプラン(ライフイベント)について検討
- 10年、20年先を見据えて資産計画
- 遺書の作成
- デジタルデータの整理と管理
- 万が一のときに伝えてほしい友人リスト、仕事関係リスト
(3)40代
- 資産状況の再検討
- 老後の資産計画
- 病歴やお薬について
- 葬儀やお墓について(生前契約も視野に)
- 遺書の作成
- デジタルデータの整理と管理
- 万が一のときに伝えてほしい友人リスト、仕事関係リスト
(4)50代
- 介護や死後についての希望
- 資産相続について
- 老後の資産計画
- 病歴やお薬について
- 葬儀やお墓について(生前契約も視野に)
- 遺書の作成
- デジタルデータの整理と管理
- 万が一のときに伝えてほしい友人リスト、仕事関係リスト
(5)60代以上
- 退職後の資産計画
- 断捨離
- 介護や死後についての希望
- 資産相続について
- 老後の資産計画
- 病歴やお薬について
- 葬儀やお墓について(生前契約も視野に)
- 遺書の作成
- 万が一のときに伝えてほしい友人リスト、仕事関係リスト
4: 親世代の終活は子世代の終活でスムーズに!
70代以上の親世代が終活を始めてくれないので心配。こんな子ども世代の方もいらっしゃると思います。
こういう場合ですが、親世代が「まだまだ自分は若いから大丈夫」という気持ちもあると思います。そこで、親世代へ子ども世代が「自分たちも終活を始めている」ことを話してみてください。
年齢や健康状態、気力などではなく、万が一のときに残された遺族への負担を軽くする目的で始めていると伝えるのもおすすめです。
終活によって、介護や葬儀のこと。保険や銀行口座のことなど、全て記されている情報があると、万が一の時、かなり負担が軽減します。
タンスの奥を探す必要もありません。押入の奥を探す必要もなくなります。ボロボロになった紙の封筒をひとつずつ見ていく手間も省けます。
本人しかわからない場所にあると、遺族は対処したくてもできません。そもそも、契約があるのかどうかわからないケースが多いですから、いつまでも保険が受け取れない、サービス料金が引き落とされていく。こんな問題が発生します。
5: まとめ
終活はいつから始めても問題ありません。どちらかというと始めない方が問題です。
万が一のとき、残された方の負担を軽減するためにも、人生の中で大きな転換点があったときをきっかけにして始めてください。